バズマザーズVo,Gt,担当


by n-g-c-m-w

ちくわとモンプチ1

初めてポポロと会ったのは昨年の夏の終わりの夕暮れ。私が住居する、高級住宅街の中で最もみすぼらしいアパートの隣に聳える高層マンションの敷地内にある広場で日向ぼっこしている彼女を目撃した時だった。

彼女は、灰色と白の綺麗な毛並みで、まんまるな眼をしていて、どことなく気品があり、ふくよかな身体をしていたので、おそらくどこか上層階級の家庭の方だろうと思いながら、ぼんやりと眺めたり、目線を彼女の高さに合わせ「とぅとぅとぅ」と舌と上顎を巧みに使い破裂音を出してこちらに招いてみたりしていると、茂みの奥の方から、ばっっさばさの毛並みの目付きが悪い薄汚れたガゼルが「おにいさん、手ぶらで来られても困りますよ。うちも商売なんやから」みたいな感じで出て来て、とぅとぅとぅしてる私の手を、にゃっと引っ掻いてこちらを睨んでいる。
あ、こりゃ美人局の類いか。と仕方無くコンビニへ行き、ちくわとモンプチを購入し、彼等にそれを大盤振る舞いしたのを今でもよく覚えている。

それから、作業の合間に暇を見つけてはちくわとモンプチを手に彼等に会いに行くのが日課になった。
そこで知り合ったイトウさんというここらの猫事情通の貴婦人と親しくなり、ガゼルとポポロは兄弟である事、奥地にはポポロそっくりなお父さん、ガゼルと同じ毛色のお母さんがいる事を知り、皆に行き渡る様に据え膳をした。

1週間程すると、ポポロとガゼルの両親とも会う事ができ、私の存在を認識している様な挙動が確認できた。
ただ、この兄弟は取り分け警戒心が強く、身体に触れさせてくれる様な事は一度もなかった。……実は今もない。
イトウさん曰く、人間に何か恐怖感を植え付けられる様な仕打ちを受けたと思うので、無理に近寄らない方がこの子らの為、との事だったので、毎日の近況報告を彼等にした後、ちくを一口大に千切り、適量のモンプチを人間では立ち入れないフェンスの向こうに手を目一杯延ばして配置して帰る等する事で、こちらに敵意はないと理解して貰えたらなと考えていた。いかにも人間らしいやり方だな、とも想って少し寂しかった。

それからしばらくした後、スタジオ帰りに彼等の縄張り前を通過しようとした際、ポポロそっくりのお父さん(ポポパパと呼んでる)が私の足元まですり寄って来て「今日は、いろても、ええよ」と言いたげに腹部を上空に向け、なーごなーご言ってこちらを見て来たのである。
「ぼ、ぼく今手ぶらですよ?後でまた御食事用意させてもらうつもりやったんですけど、今触らしてもらってよろしいんでっか?」と困惑していると「あんた野暮やわ。恥かかされたわ。ここまでさせといて。あんた野暮やわ。」みたいな感じでプイーと茂みの奥地へ行ってしまい、如何に自分がアカンタレかを思い知った私は、大慌てでちくわとモンプチを手に舞い戻り彼等にこれを配当し、心行くまでポポパパの身体をいじくりまくったのである。
顎を愛でる手つきが女性のデリケートな部分を愛撫する手つきと似てるな、なんて想いながら。
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by n-g-c-m-w | 2013-07-29 22:42