バズマザーズVo,Gt,担当


by n-g-c-m-w

ちくわとモンプチ2

私はガゼルが嫌いだった。
黒猫か、と思う程に薄汚れた濃いグレーの毛並みはザックザクになっているし、何よりあの目付き。
ポポロ一族は皆、まんまるの可愛らしい眼をしているのに対し、人間(俺だけなのかも)を舐めきっているみたいな、ガゼルのあの三角の目付き。
警戒心こそ強いものの、常に私の半径2m以内にいて、「妹とか、おかんに手ぇ出したら殺すぞ。はよメシ置いて消えろ」みたいな態度を取る彼に
「俺はポポロに会いたくて毎日来てるんや。本当ならお前になんか二度と会いたくない。お前はホンマにポポロ一族なんか?そんな醜い身成しやがって。」
と、何度も言いたくなったが言えなかった。
何故ならガゼルは、人間の言葉を理解しているのではないか、と感じる程に達観した様相を呈していたし、何よりガゼルを前にすると、ヤンキーの先輩に呼び出された時位のCHAGE&緊張感&圧迫感が背筋を走り、恐くて何も言えなくなるからである。

そう、私はガゼルが嫌いなのではなく、恐かったんだと今では想う。

そんなある日、突如ガゼルの姿が確認できなくなった。
元々、ポポロ一族の中で一番活動範囲が広く、ほぼ毎日身体の何処かに新しい傷や汚れを作ってくる彼の事なので「きっとどっかでタイマンでも張ってるのだろう。ネコまっしぐらじゃー!かなんか絶叫しながら」と想っていた数日後、猫の師匠イトウさんに、ガゼルが車のボンネットに入り込んでしまい、瀕死の大怪我を負ってイトウさんの実家で療養中である事を教えてもらった。

「ほら、あの子(ガゼル)、ヤマダさんにだけは心を許していたでしょう。昼間ここに来る私の猫仲間達も、あの子だけは嫌いって言ってね。本当はいい子なんだけどね。でも、ヤマダさんだけは優しくしてくれるから、あの子いっつもヤマダさんの側にいたよね。ヤマダさんも心配でしょう、ほら」
と、全身包帯ぐるぐる巻きのエリザベスカラーを無理くり装着されて不貞腐れた顔をしたガゼルの画像を見せてくれた。

言うな、それ以上言うなイトウさん。てか執拗にヤマダさんて呼ぶな。俺はガゼルに「お前なんか消えちまえ」とか平気で想ってた最低の薄情者なんやぞ。てか執拗にヤマダさんて呼ぶな。今は呼ぶな。たのむ。
と、完全に混乱し、ポポロ達に簡略的なコミュニケーションだけ取ると、自宅に帰り、少し泣いた。


ガゼルは今や足に少し後遺症こそ残っているものの、傷も癒えてすっかりイトウさんの実家に慣れ切ってしまい、あの由緒正しき路地裏の野良猫魂は消え失せ、イトウさんのお母さんのお膝でお昼寝をする様なキュートな飼い猫に成り下がったらしい。ざまあみろ。
ちなみに、ガゼルがイトウさんの実家では何と呼ばれているか、私は知らない。

あい!どん!のーう!


それからしばらく平和な日々が続いて、去年の11月ポポロが4匹の子供を産んだ。

この猫日記、ここからが、長いの。
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by n-g-c-m-w | 2013-07-30 06:48